セブン&アイホールディングスの新しいスーパー「ヨークフーズちはら台店」がオープン

5月13日、セブン&アイグループのヨークマートは、新しいスーパーマーケット「ヨークフーズちはら台店」を商業施設「もりまち ちはら台モール」内にオープンしました。

「ヨークフーズ」はセブン&アイホールディングスが首都圏に出店するために開発した、新しいスーパーマーケットです。

これまで、セブン&アイホールディングスは首都圏でスーパーマーケットの店舗数を増やせずにいます。「ヨークフーズ」は首都圏のお客さんのニーズに対応し、店舗数を増やすことが期待されています。

「ヨークフーズちはら台店」の詳細

5月13日、セブン&アイグループのヨークマートは、新しいスーパーマーケット「ヨークフーズちはら台店」を商業施設「もりまち ちはら台モール」内にオープンしました。

セブン&アイホールディングスは首都圏に出店する新しいスーパーマーケット「ヨークフーズ」を開発し、「ヨークフーズちはら台店」は1号店になります。

「ヨークフーズ」では、生鮮三品のプロセスセンター、惣菜のセントラルキッチンなど、セブン&アイグループのインフラを活用し、高品質で価格競争力の高い商品を効率的に供給できる体制を整えます。また、店舗の省人化も「ヨークフーズ」の特徴です。

ヨークマートは6月1日付でヨークへと商号を変更し、イトーヨーカ堂が首都圏で展開している「食品館」と「ザ・プライス」の20店舗、フォーキャストがテスト展開している「コンフォートマーケット」を統合再編することが決まっています。

今後、セブン&アイホールディングスは首都圏に新しいスーパーマーケット「ヨークフーズ」を出店して行く計画です。

なぜ新しいスーパー「ヨークフーズ」を出店するのか

セブン&アイホールディングスは首都圏に出店するための新しいスーパーマーケット「ヨークフーズ」を開発しました。

セブン&アイホールディングスが「ヨークフーズ」を出店する理由は、首都圏のスーパーマーケットの店舗数を増やすためです。

ヨークマートは首都圏にスーパーマーケットを出店していますが、近年は店舗数が停滞しています。

2020年2月期のヨークマートの店舗数は、前期から1店舗減少した78店舗でした。10年前の2010年2月期の店舗数は62店舗で、10年間で16店舗しか増えていません。

ヨークマートは首都圏のお客さんのニーズに応えられていないとは言えませんが、高く評価されているという訳でもありません。

「ヨークフーズ」はこれまでのヨークマートにはない価値をお客さんに提供して、首都圏で店舗数を増やすことが期待されています。

「ヨークフーズ」がお客さんに提供する価値は、生鮮三品のプロセスセンター、惣菜のセントラルキッチンなど、セブン&アイグループのインフラを活用した商品です。

イトーヨーカ堂が首都圏で展開している「食品館」、「ザ・プライス」は店舗数が少なく、首都圏のスーパーマーケットを統合再編しやすい状況にあります。

セブン&アイホールディングスは首都圏のスーパーマーケットを「ヨークフーズ」として展開することで、店舗数の増加を狙っています。

首都圏の消費者がスーパーマーケットに求めるものはなにか

セブン&アイホールディングスの新しいスーパーマーケット「ヨークフーズ」は、首都圏のお客さんのニーズに応えるためのものです。

首都圏のお客さんがスーパーマーケットに求めるものは、生鮮食品から時短商品へとシフトしていると考えられます。

お客さんはスーパーマーケットで生鮮三品を買い、自宅で調理して食べることが一般的でした。しかし、女性の社会進出、共働き、非婚化・晩婚化などにより、料理をする機会が減りつつあります。

首都圏は日本全国の中でも未婚率が高いエリアです。

2015年に発表された全国の生涯未婚率は男性が23.37%、女性が14.06%でした。東京の生涯未婚率は男性が26.06%(全国3位)、女性が19.2%(全国1位)と全国平均よりもかなり高いです。

東京の高い生涯未婚率を考慮すると、首都圏では単身者が増え、料理をする人が減ることになります。時短商品のニーズは全国で高まっていますが、特に首都圏では高いと考えられます。

スーパーマーケットはこれまで料理をしてきた中高年よりも、料理をしない若者への対応を強化したいです。料理をしない若者はコンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストアなど、スーパーマーケット以外の店舗で食品を買うようになります。

スーパーマーケットが料理をしない若者を取り込むためには、弁当、惣菜、冷凍食品、ミールキットといった時短商品を充実させ、来店動機を作り出したいです。

スーパーマーケットは多様なニーズに対応すると生産性が低下する

スーパーマーケットでは生鮮三品の需要が減り、時短商品の需要が増えています。

スーパーマーケットはお客さんの多様なニーズに対応したいですが、生産性が低下する問題が出てきます。

女性の社会進出が進む以前は専業主婦が多く、スーパーマーケットで生鮮三品を買い、自宅で調理することが一般的でした。スーパーマーケットは多くの人が購入する生鮮三品に注力すればいいので、生産性は高いです。

女性の社会進出、共働き、非婚化・晩婚化などにより、生鮮三品の需要が減り、時短商品の需要が増えます。スーパーマーケットは生鮮三品の品揃えを維持しつつ、時短商品を拡大して行くことになります。

時短商品には、弁当、惣菜、ミールキット、冷凍食品などがあり、それぞれの品揃えを充実させなければなりません。

生鮮三品の品揃えを維持しつつ、時短商品を拡大して行くと、売場面積は大きくなり、生産性は低下します。人口の減少が長く続くことが確実なため、売場面積が大きくなることには不安もあります。

セブン&アイホールディングスが出店した「ヨークフーズちはら台店」の売場面積は1,987平方メートルで、スーパーマーケットとしては大きめの店舗です。

「ヨークフーズ」においても、生鮮三品と時短商品の両方の品揃えを充実させながら、いかに生産性を高められるかが課題になりそうです。