7月7日、くら寿司はマグロの目利きを行うAI「TUNA SCOPE」を導入したと発表しました。「TUNA SCOPE」はスマホアプリで撮影したまぐろの断面の画像をもとに、マグロを3区分に評価します。
AIにマグロの目利きができるのか不安はありますが、「TUNA SCOPE」と35年のキャリアを持つベテラン仲買人の判断は約90%一致しており、十分な目利きができていると評価できます。
AIには人間の仕事を奪ってしまうというネガティブな見方がありますが、人手不足の解消、生産性の向上に貢献するポジティブな点もあります。マグロの仲介人は減少しており、「TUNA SCOPE」はポジティブな影響の方が大きいです。
くら寿司のマグロ目利きAI「TUNA SCOPE」
7月7日、くら寿司はマグロの目利きを行うAIを導入したと発表しました。
くら寿司が導入したAI「TUNA SCOPE」は、スマホアプリで撮影したまぐろの断面の画像をもとに、マグロのランク付を行うものです。
「TUNA SCOPE」は職人の目利き結果をディープラーニング(深層学習)しています。ディープラーニングしたデータをもとに、まぐろの断面の画像を解析して、Aランク(最上級)、Bランク(上級)、Mランク(それ以外の並品)の3区分に評価します。
「TUNA SCOPE」の精度は、35年のキャリアを持つベテラン仲買人の判断と約90%の一致率を実現しています。
「TUNA SCOPE」はマグロを適切に目利きできるのか
くら寿司はマグロを目利きするAI「TUNA SCOPE」を導入しました。
「TUNA SCOPE」と35年のキャリアを持つベテラン仲買人の判断は約90%一致しており、十分な目利きができていると評価できます。
AIを使った画像解析を業務に導入する事例が増えています。
AIを使った画像解析では、最初に解析の基準となる画像(教師データ)をディープラーニング(深層学習)します。「TUNA SCOPE」の場合、教師データとなるのは、マグロの断面の画像、ベテラン仲買人の評価です。
「TUNA SCOPE」は新たに撮影した画像とベテラン職人が評価した画像を比較して、ランク付けを行います。新たに撮影した画像とよく似た画像をベテラン職人がAランクと評価していれば、そのマグロはAランクだと判定されます。
マグロの目利きは難しいというイメージがあります。ただ、AIを使った画像解析が様々な業務に導入されていること、約90%と一致率が高いことを考慮すると、「TUNA SCOPE」には十分な目利き力があると言えます。
「TUNA SCOPE」だけのランク付けに不安がある場合、人間が補完できます。
「TUNA SCOPE」の一致率は約90%と高いです。しかし、約10%は間違うということでもあるので、仕入れに問題を引き起こす可能性はあります。
「TUNA SCOPE」だけの場合、AランクをBランク、Mランクと評価してしまうリスク、Bランク、MランクをAランクと評価してしまうリスクがあります。このようなリスクは人間が確認することで回避できます。
「TUNA SCOPE」の一致率が100%ではなくも、人間の業務を削減したり、支援できることには価値があります。
「TUNA SCOPE」は人手不足の解消・生産性の向上に貢献
くら寿司はマグロを目利きするAI「TUNA SCOPE」を導入しました。
AIには人間の仕事を奪ってしまうというネガティブな見方がありますが、人手不足の解消、生産性の向上に貢献するポジティブな点もあります。
少子化によって人手不足の状況になっています。
くら寿司によると、まぐろの仲買人は全盛期の半数にまで減少しているとのことです。また、まぐろの仲買人が一人前になるには、最低でも10年掛かるとのことです。
「TUNA SCOPE」は画像をもとにマグロのランク付けを行います。「TUNA SCOPE」はまぐろの仲買人の仕事を奪う見ることもできますが、まぐろの仲買人の人手不足を補うと見ることもできます。
まぐろの仲買人の人数が減り、育成に時間が掛かることを考えると、「TUNA SCOPE」の導入はポジティブなものです。
「TUNA SCOPE」は生産性の向上に貢献します。
「TUNA SCOPE」の導入により、人間がマグロの目利きを行う作業量が減ります。くら寿司の売上が減らなければ、人間の作業量が減った分だけ利益は増えます。
人間の作業量が減って、利益が増えるのは嬉しいことです。くら寿司の利益が増えれば、くら寿司の従業員の給料が増えるチャンスも大きくなります。
人手不足に対応するため、AIを導入して、生産性の向上を実現することは、これから多くの企業が目指す方向性です。くら寿司が導入した「TUNA SCOPE」には、生産性の向上が期待されます。