ファミリーマートは1月14日より、レンジで温める、パック入りのおでんの販売を開始しました。レンジで温めるおでんは二種類で、4個入りは268円(税込)、6個入りは358円(税込)となっています。
ファミリーマートがレンジで温めるおでんを販売する目的は、食品ロスの削減、業務負担の軽減です。加盟店は鍋のおでんだけを販売する、レンジで温めるおでんだけを販売する、両方とも販売する、両方とも販売しないの4パターンから選択できます。
レンジで温めるおでんは具材が選べず、味も落ちるような印象があります。一方で、賞味期限は180日と長く、保存ができるので、お客さんの利便性は向上します。味に問題がなければ、食品ロスの削減、業務負担の軽減を実現するだけではなく、売上の増加も期待できるのではないかと思います。
レンジで温めるおでんの詳細
ファミリーマートは1月14日より、レンジで温める、パック入りのおでんの販売を開始しました。ファミリーマートの公式サイトには、レンジで温めるおでんのニュースリリースはなく、メディア向けに説明が行われたようです。
ファミリーマートのレンジで温めるおでんの詳細は、次のようになっています。
レンジで温めるおでんは1月14日より販売が開始され、沖縄を除く全国約6,000店で取り扱いされています。レンジで温めるおでんの賞味期限は180日です。
レンジで温めるおでんは二種類あり、4個入りは268円(税込)、6個入りは358円(税込)です。4個入りの具材は、大根、ちくわ、こんにゃく、さつま揚げです。6個入りの具材は、4個入りの具材に昆布とたけのこが追加されています。たまごは人気の具材ですが、レンジで温めると爆発する恐れがあり、パックには入っていません。
レンジで温めるおでんを販売するかどうかは、加盟店が決めることができます。
鍋のおでんだけを販売する、レンジで温めるおでんだけを販売する、両方とも販売する、両方とも販売しないの4パターンがあります。
コンビニのおでんは店員が丁寧に管理をしながら、じっくり時間を掛けて作られる商品です。今回、ファミリーマートが販売した、レンジで温める、パック入りのおでんは、従来のおでんのイメージを大きく変えるものです。
なぜレンジで温めるおでんを販売するのか
ファミリーマートは鍋のおでんだけではなく、レンジで温める、パック入りのおでんの販売を始めました。ファミリーマートがレンジで温めるおでんを販売する理由は、食品ロスを減らし、業務負担を減らし、加盟店の利益を増やすためです。
全世界で食品ロスを減らそうとする取り組みが進められており、日本でも食品ロスの意識が高まっています。コンビニはもともと食品ロスの多い業種ですが、近年はクリスマスケーキ、恵方巻などの廃棄も注目されています。
おでんは賞味期限が短く、食品ロスが出やすい商品です。賞味期限が180日ある、レンジで温めるおでんを販売することで、食品ロスを減らせます。
レンジで温めるおでんには、業務負担を軽減する効果もあります。
おでんは鍋の清掃、調理、水・だし・具材の追加など、販売には多くの労力が掛かっています。コンビニは人手不足でアルバイト・パートの採用が難しく、店舗の業務負荷が高まっています。レンジで温めるおでんは、鍋のおでんのような労力を必要とせず、店舗の業務負担を軽減できます。
レンジで温めるおでんは、食品ロスの削減、業務負担の軽減を同時に実現できます。おでんの売上が大きく減らなければ、加盟店の利益アップに貢献する可能性が高いです。
レンジで温める、パック入りのおでんは、単に販売方法を変えただけではありません。店舗の生産性を向上させ、加盟店の利益を増やす効果を期待されています。
レンジで温めるおでんの販売で売上はどうなるか
レンジで温めるおでんは好きな具材を選べず、味が評価されない心配もあります。一方、レンジで温めるおでんは鍋のおでんよりも買いやすく、保存ができ、お客さんの利便性は向上します。レンジで温めるおでんには良い点と悪い点がありますが、どちらかと言えば良い点の方が多く、売上が増える可能性はあります。
レンジで温めるおでんは、鍋のおでんよりも味が落ちるのではないかというイメージを持たれます。しかし、インターネット上の感想を見ると、レンジで温めるおでんへの評価は良く、鍋のおでんと変わらないといったものもあります。
お客さんは具材が選べないことにがっかりするかもしれませんが、長期的には慣れるのではないでしょうか。4個入りの具材(大根、ちくわ、こんにゃく、さつま揚げ)は人気が高く、多くの人が満足できるものです。
レンジで温めるおでんは、鍋のおでんよりも買いやすいです。
鍋のおでんには、店員とのやり取りが煩わしい、衛生的に敬遠する人がいるといった問題があります。レンジで温めるおでんは店員とのやり取りが少なく、衛生的にも受け入れられやすいです。これまで鍋のおでんを買わなかったお客さんの中には、レンジで温めるおでんを買う人がいるはずです。
レンジで温めるおでんは、売り切れがほぼないこともよいです。
鍋のおでんは好きな具材が売り切れで、欲しいタイミングで買えないこともあります。レンジで温めるおでんにはほぼ売り切れがなく、欲しいタイミングで買えます。
レンジで温めるおでんは売上が減少するリスクよりも、売上が増加するチャンスの方が大きいのではないかと思います。これまで鍋のおでんを買わなかったお客さんを取り込めれば、大きな売上の増加もあるかもしれません。
おでんはお客さんにとって重要な商品か
ファミリーマートはレンジで温める、パック入りのおでんの販売を始めました。店舗によっては、レンジで温めるおでんだけしか買えなくなったり、おでんそのものが買えなくなる店舗も出てきます。
ファミリーマートはおでんの販売方法を変えましたが、お客さんへの影響は小さいのではないかと思います。ファミリーマートを含め、コンビニにとっておでんは非常に重要な商品ですが、お客さんにとってはそれほどではありません。
コンビニにとっておでんが非常に重要な商品である理由は、粗利益率が高く、大きな利益が見込めるためです。
おでんの具材は安いですが、じっくり時間を掛けて調理することで、付加価値が付いています。お客さんはコンビニのおでんがじっくり時間を掛けて調理され、味が染み込んでいることを知っているので、価格が高くても買います。
お客さんにとってコンビニのおでんが重要かというと、必ずしもそうではありません。お客さんはコンビニですごくおでんが買いたいというわけではなく、売っているから買うという感じではないでしょうか。
昔はコンビニのお客さんは男性が多く、おでんも男性のお客さんを想定したものです。現在は女性のお客さんが増え、コンビニは男性だけの店舗ではなくなっています。おでんとお酒をセットで買うことは、昔ほど一般的ではありません。
ファミリーマートはおでんの販売方法を変えたため、利益にどのような影響が出るのか心配です。お客さんもおでんの購入方法が変わりますが、ファミリーマートほど影響を受けるものではありません。
加盟店の利益を増やすには食品ロスの削減が効果的
コンビニ業界では人手不足による時給の上昇、商圏内における自社競合・他社競合によって、加盟店の利益が圧迫されています。コンビニ各社は加盟店の利益を増やすことに注力しており、最も効果的な施策は食品ロスの削減だと思います。
加盟店の売上を増やせば、利益の増加に繋がりますが、売上を増やすことは容易ではありません。
人口の減少と店舗数の増加により、コンビニの一店舗あたりの客数が伸びることは考えにくいです。コンビニ各社の日販は増えておらず、節約志向は続いており、客単価が大きく伸びることも期待しにくいです。
テクノロジーによる省人化はコストを削減し、加盟店の利益の増加に繋がりますが、不確実性が高いです。
コンビニの省人化で期待が大きいのはスマホ決済です。スマホ決済はレジの業務負担を軽減する効果があるものの、多くの高齢者は利用が難しいです。スマホ決済の利用者が増え、高齢者が現金を使うことにプレッシャーを感じるようになると、コンビニでの買い物を止めてしまうリスクもあります。
売上を増やすこと、省人化のテクノロジーを導入することに比べると、食品ロスの削減は実現しやすいです。
ファミリーマートのレンジで温める、パック入りのおでんは、食品ロスを削減する確実な効果があり、加盟店の利益が増える可能性が高いです。
コンビニはおにぎり、弁当、パンなどの定番商品、恵方巻、クリスマスケーキなどの季節商品で、食品ロスを発生させています。定番商品は値下げ販売、季節商品は予約販売、値下げ販売で食品ロスを削減できます。
早期に加盟店の利益を増やそうとするのであれば、コンビニ各社は食品ロスの削減に積極的に取り組むべきではないでしょうか。