2月7日、ビックカメラはビックカメラ日本橋三越をオープンしました。ビックカメラ日本橋三越は、三越のおもてなしと、ビックカメラの家電に関する専門的品揃えを融合した「家電の新スタイルショップ」です。
ビックカメラ日本橋三越のコンセプトは、ビッグカメラが実現したかったものであるとともに、三越伊勢丹が必要としたものであるとも言えます。
ビックカメラ日本橋三越は、家電量販店が百貨店に出店する新しい試みですが、うまく行くのではないでしょうか。日本橋三越本店のお客さんにとっては、家電の品揃え・サポートが充実するのは嬉しいことです。
ビックカメラ日本橋三越の概要
2月7日、ビックカメラはビックカメラ日本橋三越をオープンしました。
ビックカメラ日本橋三越は、三越のおもてなしと、ビックカメラの家電に関する専門的
品揃えを融合した「家電の新スタイルショップ」です。
ビックカメラ日本橋三越では、高級家電を揃え、ビックカメラの既存店では取り扱いがない、百貨店限定モデルも販売されています。高級家電のなかには、価格が数百万円の商品もあります。
ビックカメラ日本橋三越には「家電コンシェルジュ」と呼ばれるスタッフがいて、従来の赤ベストではなく、スーツを着ています。
「ビックカメラ スーパーサポート PREMIUM」と呼ばれるサポートサービスは、ビックカメラ日本橋三越だけで提供されるものです。「ビックカメラ スーパーサポート PREMIUM」には、スマートフォン、デジタル家電、家電、ホームトータルサポートの四つのコースがあります。
お客さんは月額料金を支払うことで、店頭、訪問でサポートを受けられます。
スマートフォンの場合、店頭は月額2,800円(税込)、訪問は月額7,800円(税込)です。スマートフォンのサポートは全10種類あり、スマホの初期設定、SNSの基本設定、アプリのインストール、定期メンテナンスなどがあります。サポートの内容によっては、店頭だけでしか受けれないものもあります。
ビックカメラ日本橋三越は、高級家電の品揃え、有料サポートが充実しており、百貨店の購買力のあるお客さんを意識した店舗になっています。
なぜビックカメラはビックカメラ日本橋三越を出店するのか
ビックカメラ日本橋三越のコンセプトは、三越のおもてなしと、ビックカメラの家電に関する専門的品揃えを融合した「家電の新スタイルショップ」です。
ビックカメラがビックカメラ日本橋三越を出店した理由は、これまでは実現が難しかった、新しい家電量販店を実現するためだと考えられます。
丁寧な接客はビックカメラが実現したくても難しかったことの一つです。
家電量販店は業界全体で安売りを訴求してきたため、ビックカメラは丁寧な接客をしたくでもできなかったというのはあります。家電量販店が業界全体で安売り競争をするなかで、ビックカメラだけが丁寧な接客を行うのは難しいです。
ビックカメラ日本橋三越は、従来のビックカメラの店舗とはコンセプトが明確に異なっているため、接客を強化することができます。
高級家電の品揃えはビックカメラが実現したくても難しかったことの一つです。
ビックカメラ日本橋三越では、数百万円の家電も取り扱っています。
従来のビッグカメラの店舗で数百万円の家電を販売することは難しいです。家電は高くても数十万円ほどで、売り場に数百万円の家電があると、お客さんを萎縮させる、または、しらけさせる可能性があります。
ビックカメラ日本橋三越はおもてなしと専門的品揃えが融合した、百貨店の中だからこそできる家電量販店になっています。
なぜ三越伊勢丹はビックカメラ日本橋三越を出店するのか
ビックカメラ日本橋三越のコンセプトは、三越のおもてなしと、ビックカメラの家電に関する専門的品揃えを融合した「家電の新スタイルショップ」です。
ビックカメラ日本橋三越は、ビックカメラが実現したかった店舗であるとともに、三越伊勢丹も必要していた店舗だと言えます。
三越伊勢丹が売り場に家電を必要としていたというのはあると思います。
昔は家電は百貨店の売り場にありましたが、家電量販店の台頭とともになくなりました。家電量販店は安売りに注力するため、百貨店が家電量販店と競争することは難しいです。百貨店の売り場から家電がなくなったのは自然なことでした。
百貨店の売り場から家電はなくなりましたが、家電の重要性は昔よりも高まっています。スマホ、高機能の家電を使いこなすことにより、毎日の生活が快適、便利になります。
家電には毎日の生活を改善する機能があり、三越伊勢丹がお客さんに家電を提案したいと考えるのは順当です。
ビックカメラ日本橋三越のコンセプトは、優れた商品、他の店舗にはない商品を提案するという、百貨店のコンセプトとも合致します。
お客さんが百貨店に買い物に行く理由は、近所のチェーン店にはない、優れた商品を見つけるためです。様々な理由から百貨店の商品が売れにくくなっていますが、お客さんが百貨店の商品に求めることは変わっていません。
ビックカメラ日本橋三越には、従来のビックカメラの店舗にはない、高額の商品があります。ビックカメラ日本橋三越は、三越伊勢丹の百貨店としての価値を高めるものです。
三越伊勢丹はビックカメラ日本橋三越の出店により、売り場に家電を持つこと、優れた商品、他の店舗にはない商品を持つことを実現できます。
三越伊勢丹のお客さんは家電を購入するか
百貨店の中に家電量販店が出店するのは新しい試みで、お客さんがどのような反応をするのか、商品は売れるのかは心配です。
ビックカメラ日本橋三越がお客さんに受け入れられ、家電が売れるチャンスは十分にあるのではないかと思います。
お客さんには売り場に期待するイメージがあり、売り場に自分のイメージと異なる商品が並んでいると、違和感を持ちます。売り場の違和感は買い物意欲の低下に繋がり、小売業の売上を減らしてしまうリスクがあります。
ただ、このようなリスクは以前よりも小さくなっています。
お客さんは異業種のコラボに違和感を感じるのではなく、一つの店舗で様々な商品が買える利便性に価値を見出します。ビックカメラ日本橋三越においても、百貨店に家電があることの違和感よりも、百貨店で家電が買える利便性を評価するはずです。
ビックカメラ日本橋三越が売上を伸ばすカギは、家電とサポートのセット販売です。
家電は高機能化、デジタル化が進み、使い方が複雑になっています。家電が苦手な人が高機能の家電を避けてしまうと、ビックカメラにとっては機会損失です。
ビックカメラ日本橋三越では、月額料金の店頭・訪問サポートを提供しています。家電が苦手な人は、月額料金の店頭・訪問サポートを利用することで、高機能の家電を購入しやすくなります。
家電とサポートをセットで購入すると価格が高いですが、購買力のあるお客さんが多い百貨店だからこそ、売れる可能性もあります。
百貨店の中に家電量販店が出店することに問題はなく、ビックカメラ日本橋三越は家電とサポートをセットで提案したいです。
百貨店と異業種の提携がもたらすメリット
ビックカメラ日本橋三越は、三越伊勢丹とビックカメラの提携で実現した、おもてなしと家電の専門的品揃えを融合した店舗です。
ビックカメラ日本橋三越のような、百貨店のなかに小売業の店舗が出店することには価値があり、積極的に推進したいものです。
小売業が百貨店と提携するメリットは、高付加価値の店舗を作れることです。
少子化による人口の減少が始まっており、小売業では既存店の客数が減少します。今後、小売業が客数の増加で売上を伸ばすことは困難です。高付加価値の商品を販売することは、小売業が売上を増やすための方法の一つです。
小売業が高付加価値の店舗を出店する場所として、百貨店は最適です。百貨店のなかの店舗であれば、高付加価値のコンセプトが受け入れられやすいです。
百貨店が小売業と提携するメリットは、様々なカテゴリの高付加価値商品を提供することで、売り場を強化できることです。
百貨店の売上は減少傾向にありますが、お客さんに魅力のある商品を提供できていないことが原因の一つだと考えられます。百貨店が自社で魅力のある商品を提供することが好ましいですが、難しい場合、他の小売業との提携は一つの方法です。
小売業に高付加価値の店舗を出店してもらえば、百貨店のコンセプトとも合致します。
百貨店と小売業の提携は両者にメリットがあり、お客さんにもメリットがあります。百貨店と小売業は積極的に提携を進めるべきではないでしょうか。