2月14日、エースコックは日本マイクロソフト、アイロボットジャパンと連携して、無人カップラーメン店「モッチッチ ステーション」を期間限定でオープンしました。
無人カップラーメン店には最新のテクノロジーが導入されていて、カップラーメンの購入、決済、調理、掃除はセルフサービスです。
エースコックが無人カップラーメン店を出店する目的は、手軽に食事をする機会の提供、商品・テクノロジーの紹介、マーケティングへの活用などです。無人店舗をローコストで出店できるようになれば、店舗の可能性が広がります。
エースコックの無人カップラーメン店の内容
2月14日、エースコックはJR渋谷駅山手線外回りホーム上に、無人カップラーメン店「モッチッチ ステーション」をオープンしました。無人カップラーメン店のオープン期間は、2月14日から28日までです。
無人カップラーメン店で販売するカップラーメンは、ラーメンモッチッチ(ワンタン麺・野菜タンメン)の2種類です。
無人カップラーメン店のターゲットは仕事で忙しい女性で、素早く食事ができる場所を提供します。
エースコックの無人カップラーメン店には、日本マイクロソフト、アイロボットジャパンの最新テクノロジーが導入されています。カップラーメンの購入、決済、調理、掃除はセルフサービスです。
ニュース記事では無人カップラーメン店と紹介されていますが、無人店舗ではなく省人店舗で、商品を補充する従業員がバックヤードいます。
お客さんは入店後、専用の商品棚からカップラーメンを取り出します。商品棚には重量を計測する仕組みがあり、重量の変化でお客さんの購入個数を認識します。代金の支払いはキャッシュレス決済です。
お客さんはカップラーメンを購入した後、テーブルに移動して、お湯を注ぎ、食事をします。食事終了後、テーブルのパネルを操作すると、アイロボットの床拭きロボット「ブラーバ ジェット m6」が自動でテーブルを清掃します。
エースコックの無人カップラーメン店は、食品メーカーが出店していること、テクノロジーの活用で省人化していることが特徴です。
無人カップラーメン店をオープンする目的はなにか
エースコックが無人カップラーメン店をオープンする目的は、仕事で忙しい女性に対して、素早く食事ができる場所を提供するためです。
また、エースコックの商品を知ってもらうこと、最新のテクノロジーを体験してもらうこと、マーケティングへの活用なども期待されています。
無人カップラーメン店のオープン期間は2月14日から28日までと短く、販売するカップラーメンも2種類と少ないです。エースコックの無人カップラーメン店は多店舗展開を狙ったものではなく、実験的な意味合いが強いものだと言えます。
お客さんにエースコックのカップラーメンを知ってもらうことへの期待は大きいです。
カップラーメンは多くの人にとって定番の商品で、カップラーメンに強い関心を持つ人は少ないです。小売店ではエースコックのカップラーメンは競合他社のカップラーメンと一緒に陳列されていて、お客さんに注目してもらうことは簡単ではありません。
エースコックは無人カップラーメン店をオープンすることで、お客さんに自社のカップラーメンだけを体験してもらうことができます。無人カップラーメン店の新しい飲食体験により、カップラーメンはお客さんの記憶に残ります。
エースコックの無人カップラーメン店はブランドイメージ向上にも貢献します。
エースコックの無人ラーメン店には、様々な最新テクノロジーが導入されています。エースコックの無人ラーメン店を利用したお客さんは、エースコックはテクノロジーの活用に積極的な企業であるとのイメージを持ちます。
テクノロジーの活用は生産性向上のために不可欠なものです。テクノロジーの活用に積極的な企業であることを訴求することで、ブランドイメージの向上にも繋がります。
エースコックの無人カップラーメン店はオープン期間が短く、販売するカップラーメンも2種類と少ないですが、意義のあるものです。
お客さんは無人カップラーメン店をどのように評価するか
エースコックが無人カップラーメン店をオープンする目的は、仕事で忙しい女性に対して、素早く食事ができる場所を提供するためです。
無人カップラーメン店はお客さんから強く求められているものではありませんが、あると嬉しいお客さんは一定数いるのではないかと思います。
女性の社会進出が進むと、素早く食事ができる店舗が求められるようになります。
素早く食事ができる店舗には、ハンバーガー、牛丼、うどん、そばなどがあります。素早く食事ができる店舗は男性客向けに作られていることも多く、女性客が利用しやすい店舗になっていないことも多いです。
エースコックの無人カップラーメン店は仕事で忙しい女性向けの店作りがされているため、女性が利用しやすい店舗です。
素早く食事ができる店舗はすでに多数あるため、エースコックの無人カップラーメン店がお客さんが殺到するというのは起こりにくいです。
エースコックの無人カップラーメン店では、カップラーメンを食べることができますが、コンビニのイートインでもカップラーメンを食べることができます。コンビニの方が店舗数が多く、品揃えも豊富で利用しやすいです。
ただ、エースコックの無人カップラーメン店で食事をする人は、単にカップラーメンを食べたいわけではなく、テクノロジーを体験することを望んでいます。
エースコックの無人カップラーメン店とコンビニはお客さんに提供する付加価値が異なるため、競合しているとは言えません。
エースコックの無人カップラーメン店の目的を考えると、お客さんの数が少なかったとしても、店舗を体験してもらうことには価値があります。
無人カップラーメン店はマーケティングに活用できるか
エースコックの無人カップラーメン店はマーケティングへの活用も期待されています。
今回の店舗はオープン期間が短いため、効果も限定的ですが、マーケティングに活かす方法は様々あるのではないかと思います。
エースコックの無人カップラーメン店は、テストマーケティングを実施する場所として活用できます。
無人カップラーメン店はエースコックが自社で運営するため、小売店の店舗よりも柔軟にテストマーケティングができます。今回の店舗は2種類のカップラーメンを販売しますが、より複雑なテストマーケティングも可能です。
テストマーケティングでお客さんのニーズを分析できれば、売れる可能性が高いカップラーメンを開発できます。
エースコックのような食品メーカーにとって、売れない商品を開発しないことが以前よりも重要になっています。
食品メーカーの競争環境は厳しさを増しています。小売業はPB商品の売り場を拡大しており、物流費用は高騰、食品ロスへの意識も高まっています。食品メーカーは売れる商品を増やし、売れない商品を減らさなければ、利益を確保することが難しいです。
売れる商品を増やし、売れない商品を減らすためには、テストマーケティングが重要です。エースコックの無人カップラーメン店は、テストマーケティングの場所として活用できるため、価値があります。
今回の店舗は期間限定ですが、将来的には常設店舗を運営する可能性もあります。
無人店舗の登場で店舗の可能性が広がる
エースコックは期間限定で無人カップラーメン店をオープンしました。実際には無人ではなく少数の従業員がいますが、人件費を抑えた店舗です。
ローコストで無人店舗を出店できるようになれば、店舗の可能性が広がり、これまでにはなかった店舗が登場してきます。
店舗は主に商品、サービスを販売するために利用されています。
店舗を持つのは、小売業、飲食業、サービス業です。小売業、飲食業、サービス業以外が店舗を持つケースは少ないです。
店舗には従業員が配置され、商品、サービスを販売します。店舗には従業員の給料を含め、コストが掛かるため、コストを上回る売上を稼ぐ必要があります。
少数の従業員で運営できる無人店舗の出店が可能になれば、商品、サービスを販売する以外の目的で出店する企業も出てきます。
エースコックの無人カップラーメン店の場合、カップラーメンを買ってもらうことよりも、カップラーメンを知ってもらうことの方が重要です。
無人カップラーメン店でお客さんにカップラーメンを知ってもらえれば、小売店の店舗で購入してもらったり、友人に話してもらうことができます。
今後、エースコックのようにメーカーが無人店舗を出店するケースが出てくるのではないかと思います。メーカーはお客さんに自社の商品を知ってもらいたいと考えていて、無人店舗はお客さんとのタッチポイントとして有効です。