カインズは売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ(ファインド イン カインズ)」の開発・導入を発表しています。「Find in CAINZ」とは、カインズの従業員が使用する、売り場・在庫を検索するためのアプリです。
カインズは「Find in CAINZ」の導入により、お客さんの買い物のストレスの軽減、従業員の業務負担の軽減を見込んでいます。お客さんに素早く、適切な商品・売り場を案内することは、機会損失の解消・売上の増加にも繋がります。
カインズが導入した「Find in CAINZ」のような売り場・在庫検索アプリは、ホームセンターの生産性向上に貢献します。ホームセンターを展開する企業は、売り場・在庫検索アプリを早期に導入するべきではないでしょうか。
売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」とは何か
カインズは売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ(ファインド イン カインズ)」を開発し、10月21日より、順次全国の店舗で導入して行くことを発表しています。「Find in CAINZ」は、カインズの店舗で働く従業員向けのアプリです。
カインズの従業員は「Find in CAINZ」に商品名、キーワード、JANコードを入力すれば、売り場や在庫数など、当該商品の情報を即時に把握することができます。
カインズが「Find in CAINZ」を開発した目的は、広い店舗で商品を探すお客さんのストレスを軽減すること、商品を補充する従業員の業務負担を軽減することです。
カインズによると、お客さんから従業員への問い合わせのうち、商品の場所(売り場)を聞くものが全体の8割を占めているとのことです。ホームセンターは店舗が広く、商品数も多いため、従業員が素早く、正確に回答することは簡単ではありません。
「Find in CAINZ」は問い合わせの8割を占める、商品の場所(売り場)を正確に案内するために開発されています。
10月21日、「Find in CAINZ」は本庄早稲田店に40台導入されています。2020年1月末までには、カインズ全店舗への導入を完了する予定です。
カインズは小売業の中でも、IT投資に積極的な企業として知られています。カインズの「デジタル戦略」の取り組みには、デジタルアドバイザリーボードの設置、米国シリコンバレーでのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)設立などがあります。
「Find in CAINZ」の開発・導入は、カインズのIT投資によるものです。
売り場・在庫検索アプリの効果 – お客さんのストレスを軽減
カインズが売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」を開発した目的は、お客さんの買い物のストレスを軽減するためです。
お客さんは百貨店、ショッピングセンター、スーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストア、コンビニなど、様々な店舗で買い物をします。様々な業種の店舗の中でも、ホームセンターは買い物のストレスが大きい店舗ではないでしょうか。
ホームセンターは品揃えが豊富ですが、一方で、売り場面積が大きいです。買い物をするお客さんは、商品を探すために歩く距離が長くなります。
従業員に質問をする場合においても、ホームセンターはストレスを感じることがあります。ホームセンターは売り場面積が広く、従業員を探すことにも時間が掛かります。さらに、ホームセンターは品揃えが多く、従業員がすべての商品を知っているわけではありません。従業員が別の従業員を探すことになれば、お客さんの待ち時間は長くなります。
このようなストレスは以前から存在しているものですが、ECの拡大、高齢化社会の進行を考えると、何らかの方法でストレスを軽減したいところです。
ホームセンターの買い物は大変だとお客さんに思われてしまうと、ECサイトで買い物をするようになる可能性があります。また、お客さんは年齢とともに体力が低下して行くため、売り場を長時間歩くことにも疲労を感じるようになります。
お客さんの買い物のストレスを軽減する方法として、カインズの「Find in CAINZ」は効果的なものです。質問された従業員が素早く、適切に商品・売り場を案内できるようになれば、お客さんが商品を探す時間は減り、ストレスが軽減されます。
売り場・在庫検索アプリの効果 – 機会損失を解消・売上の増加
カインズが売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」を開発した目的は、お客さんの買い物のストレスを軽減するためです。これに加え、従業員がお客さんに適切に商品・売り場を案内することにより、機会損失が解消され、売上の増加にも繋がります。
ホームセンターは売り場面積が広く、品揃えも豊富です。ホームセンターの従業員はカテゴリの一部を担当していて、すべての商品に詳しいわけではありません。
お客さんがホームセンターの従業員に商品・売り場を聞いたときに、詳しくないので別の従業員を呼びますといったことはよく起こります。ここでの待ち時間が長くなると、お客さんは商品・売り場を探すことを止めてしまい、機会損失になってしまいます。
お客さんがホームセンターで商品を探すときには、漠然とした商品の特徴、または、ニーズで質問することがあります。従業員がこのような質問に素早く、適切に対応するためには、商品知識と経験が必要です。従業員がお客さんの質問の内容を正しく理解して、適切な商品・売り場を紹介できなければ、機会損失になってしまいます。
ホームセンターでは、従業員の商品知識と経験の不足によって、多数の機会損失が発生していると推測されます。「Find in CAINZ」は従業員の商品知識と経験の不足を補強することにより、機会損失の解消に貢献します。
ホームセンターにおいては、お客さんが商品を探すストレスと機会損失はセットになっています。お客さんが適切な商品・売り場とマッチングする確率を高めれば、お客さんのストレスの軽減、機会損失の解消・売上の増加を同時に実現できます。
売り場・在庫検索アプリの効果 – 従業員の業務負担を軽減
カインズが売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」を開発した目的は、商品を補充する従業員の業務負担を軽減するためです。
従業員は「Find in CAINZ」を使うことで、商品と売り場の情報を得ることができます。商品、売り場に詳しくない従業員であっても、どの商品がどこの売り場にあるのかすぐに把握できるので、商品の補充を効率良く行えます。
ホームセンターの従業員の主な業務は、接客と商品の補充です。商品の補充をしながら、お客んさんに質問をされれば、お客さんに商品・売り場を案内します。お客さんの接客に時間が掛かると、商品の補充の時間が減ることになります。
ホームセンターの従業員の立場では、できるだけ無駄な接客の時間を減らしたいです。「Find in CAINZ」を利用することで、お客さんに商品・売り場を案内する時間を削減できれば、商品の補充の時間が増え、落ち着いて業務に取り組めます。
従業員が働きやすい労働環境を作ることは、既存の従業員のためだけではなく、新規の従業員の採用においても重要なものです。
人口の減少により、アルバイト・パートの採用が難しくなっています。アルバイト・パートは仕事を選ぶようになり、時給が安い仕事、きつい仕事は敬遠されます。
現在、アルバイト・パートに敬遠され始めているのがコンビニです。コンビニは時給が安く、次々に新しい業務が増えるので、働きにくい職場だと評価されています。コンビニがアルバイト・パートを採用するためには、労働環境の改善が必要になっています。
ホームセンターは売り場が広く、品揃えも豊富であり、楽な仕事であるとは言えません。商品の補充のために歩く距離は長く、重たい商品も多いです。また、たくさんの商品の機能、価格、売り場を覚える必要があり、接客は他の業種の店舗よりも大変です。
「Find in CAINZ」は従業員の商品の補充、接客の負担を軽減するだけでなく、新規従業員の採用でも効果があります。従業員が「Find in CAINZ」を使って、効率良く仕事をしていることをお客さんに見てもらい、ホームセンターの仕事はきつい、大変というイメージを改善したいです。
売り場・在庫検索アプリはホームセンターの生産性向上に効果的
小売業では最新のテクノロジーを導入して、店舗の生産性を向上させなければならないと言われています。ホームセンターにおいても、生産性の向上が必要です。
ホームセンターが導入しているテクノロジーには、ECサイト、スマホアプリ、スマホ決済などがあります。ホームセンターの生産性を向上させるテクノロジーは様々ありますが、売り場・在庫検索アプリは確実な効果が見込めるものだと思います。
カインズの売り場・在庫検索アプリ「Find in CAINZ」は、機会損失の解消と従業員の業務負担軽減を実現するものです。機会損失の解消により、売上は増え、従業員の業務負担軽減により、従業員の作業効率が改善されます。
カインズは「Find in CAINZ」の導入により、機会損失の解消・売上の増加、従業員の業務負担の軽減が同時に実現されることで、店舗の生産性向上が期待できます。
売り場・在庫検索アプリが優れている点は、既存顧客、既存従業員という、既にある経営資源を活性化する効果があることです。売り場・在庫検索アプリにより、お客さんは買い物がしやすくなり、従業員は仕事がしやすくなります。売り場・在庫検索アプリの導入効果は確実なもので、店舗の生産性向上も確実なものであると言えます。
ホームセンターの競争環境で問題になっているのは、既存店の客数の減少です。小売業では人口の減少、業種の垣根を超えた競争によって、既存店の客数の減少が起こっています。ホームセンターは品揃えが豊富なため、業種の垣根を超えた競争による影響が大きく、既存店の客数の減少が特に大きいです。
新規顧客の獲得が難しい状況にあるホームセンターは、今現在買い物をしてくれている、既存のお客さんを一層大事にしたいです。
売り場・在庫検索アプリは、既存のお客さんのためのものです。既存のお客さんのストレスを軽減して、機会損失を解消することで、売上を増やすものです。既存のお客さんを一層大事にするという点でも、売り場・在庫検索アプリは、すべてのホームセンターが導入するべきではないしょうか。