2月7日、ローソンは加盟店の経営安定に向けた新たな施策を発表しました。新たな施策の狙いは、単店舗経営の加盟店を複数店舗経営にすることです。
単店舗経営は店舗が一つしかないので、経営環境の変化に脆弱です。一方、複数店舗経営は店舗が複数あるので、経営環境の変化に対応する余力を持てます。
加盟店の経営を安定させるためには、複数店舗経営は効果的な施策です。
加盟店の経営安定に向けた新たな施策
2月7日、ローソンは加盟店の経営安定に向けた新たな施策を発表しました。
新たに発表された施策は8個ありますが、全体的な方向性は、単店舗経営の加盟店を減らし、複数店舗経営の加盟店を増やそうというものです。
ローソンの説明によると、店舗数では72%が複数店舗経営、加盟店数では58%が単店舗経営であるとのことです。
ローソンは単店舗経営で低利益の約1,200店舗に対して、1年間限定で月4万円を支援します。さらに、対象店舗が1年以内に複数店舗経営に実現した場合、月4万円の支援を2年間延長、奨励金150万円が支払われます。
これは単店舗経営で低利益の加盟店に、複数店舗経営をしてもらうことで、利益を確保しやすくする狙いがあります。
ローソンは新規加盟店に対して、新規店舗ではなく、既存の直営店、フランチャイズの戻り店を案内します。
新規加盟店に新店舗ではなく、既存店を経営してもらうことで、リスクを抑えます。新規加盟店の経営が早期に安定すれば、複数店舗経営も早期に実現されます。
ローソンが発表した新たな加盟店支援は、加盟店の複数店舗経営を進め、加盟店の経営を安定させるものです。
なぜ単店舗経営で低利益の店舗に月4万円を支援するのか
ローソンは単店舗経営で低利益の約1,200店舗に対して、1年間限定で月4万円の支援を発表しました。さらに、対象店舗が1年以内で複数店舗経営に実現した場合、月4万円の支援を2年間延長、奨励金150万円が支払われます。
ローソンが単店舗経営で低利益の店舗に対して、1年間限定で月4万円を支援する理由は、複数店舗経営の加盟店を増やしたいからです。
現在、単店舗経営で低利益の店舗は、これまでの経営によるものです。月4万円の支援を1年間受けたとしても、経営状況が大きく変わるとは考えにくいです。
月4万円の1年間の支援は、複数店舗経営をするインセンティブです。現在、単店舗経営で低利益の加盟店は、厳しい経営状況にあります。既存店舗が厳しい経営状況にあるなかで、複数店舗経営をしようとする加盟店は多くはないかもしれません。
月4万円の1年間の支援は、単店舗経営で低利益の店舗を支援するというよりは、複数店舗経営をしなければ生き残れないという通告のようなものです。
単店舗経営で低利益の店舗が、短期間で経営状況を改善するのは困難です。経営する店舗数を増やすことで、複数の店舗で利益の確保を目指します。利益が少ない店舗があっても、利益が多い店舗もあれば、全体で利益を増やすことは可能です。
単店舗経営で低利益の約1,200店舗は、1年以内に複数店舗経営を実現し、その後の2年間で利益を増やすことを期待されています。単店舗経営で低利益の店舗への支援となってはいるものの、内容は厳しいです。
なぜ加盟店に複数店舗を経営してもらうのか
ローソンは単店舗経営で低利益の約1,200店舗に対して、金銭的な支援を行い、複数店舗経営を進めます。
ローソンが複数店舗経営を進める理由は、加盟店の経営が安定するからです。
3店舗を各加盟店が単店舗経営する場合と、一つの加盟店が3店舗を複数店舗経営する場合を比較すると、経営安定の効果が分かります。
3店舗を各加盟店が単店舗経営する場合、利益が少なく、生活が苦しくなる加盟店が出る可能性があります。一方、一つの加盟店が3店舗を複数店舗経営する場合、利益が少ない店舗があっても、利益が多い店舗があれば、合計で利益を確保できます。複数店舗経営は単店舗経営と比較すると、生活が苦しくなる加盟店が出にくいです。
人材の有効活用という点でも、複数店舗経営にはメリットがあります。
狭い地域で複数店舗経営をすれば、アルバイト・パートを柔軟に配置できます。アルバイト・パートは立地の異なる複数の店舗で働くため、仕事のモチベーションアップ、スキルアップにもなります。
現在、人手不足でアルバイト・パートの採用が難しく、時給も上昇しています。狭い地域で複数店舗経営をすれば、人件費の増加を抑えることができます。コンビニ業界では日販が停滞しているため、利益の確保にはコストの削減が重要です。
ローソンは複数店舗経営を進めることで、加盟店の経営を安定させ、低利益の加盟店を減らそうとしています。加盟店の経営が安定すれば、ローソンの経営も安定します。
なぜ新規加盟店に既存店を経営してもらうのか
ローソンは新規加盟店に対して、新規店舗ではなく、既存の直営店、フランチャイズの戻り店を案内する予定です。
ローソンが新規加盟店に対して、既存店を案内する理由は、リスクが小さいからです。
経営基盤が既にあることは、新規加盟店にとってメリットです。
新規加盟店は売上がしっかり取れるか、優秀なアルバイト・パートを採用できるかなど、店舗経営について様々な不安を抱えています。既存店を経営する場合、売上は既にあり、優秀なアルバイト・パートもいます。既存店と新規店舗と比較すると、既存店を経営する方が新規加盟店のリスクは小さいです。
新規加盟店は既に売上があり、アルバイト・パートがいる既存店を経営することで、日販を上げることに注力できます。
ローソンが新規加盟店に対して、既存店を案内する理由には、後継者不足も関係しているかもしれません。
後継者がおらず、廃業する企業が増えているというニュースがあります。後継者不足は日本全体で起こっており、ローソンでも起こっていると考えられます。
ローソンの立場では、後継者不足での閉店は増やしたくありません。閉店する店舗数が増えると、ブランドイメージが悪化してしまいます。
新規加盟店に既存店を引き継いでもらえれば、閉店数を抑えられます。ローソンは新規出店と閉店が同時に発生する状況よりも、新規出店も閉店も発生しない状況を好んだのではないかと思います。
ローソンは新規加盟店に対して、既存店を案内します。これは新規加盟店の経営リスクを抑えるとともに、閉店数を増やさないためのものです。
コンビニの飽和で加盟店の経営安定が重要になる
ローソンは加盟店の経営安定のための新たな施策を発表しました。
2019年はコンビニは飽和になったという見方が強まり、加盟店の経営安定が重要な課題になった年でした。
人口の減少により、コンビニの飽和感は一層強まりました。
これまでも、コンビニは飽和だと長く言われ続けてきました。コンビニの店舗数が増えると、一店舗あたりの人口は減少します。少子化による人口の減少が多くの人に認識されるようになったことで、コンビニは飽和だという意見も増えました。
コンビニは客数が不足しているだけでなく、アルバイト・パートも不足しています。コンビニは飽和だと言うよりも、一店舗あたりの人口不足だと言う方がいいかもしれません。
コンビニは加盟店の経営安定に注力したいです。
最近はコンビニのネガティブなニュースを毎日どこかで目にします。ネガティブなニュースを目にすると、お客さん、労働者のコンビニ離れに繋がる可能性があります。
加盟店がしっかりと利益を確保できれば、労働者が働きやすい店舗になり、お客さんが買い物がしやすい店舗にもなります。
少子化は簡単に解決されることはないので、今後も数十年、人口の減少が続くと予想されています。人口が減少するなかで店舗数が増えると、一店舗あたりの人口は減り、加盟店は利益の確保が難しくなります。
大手コンビニチェーンが新規出店を控え、加盟店の経営安定に注力すれば、一店舗あたりの人口を適切に保てるはずです。