ミニストップがソフトクリーム事業を拡大、店舗展開とライセンス販売で黒字化を目指す

ミニストップは4月8日に行った2020年2月期の決算説明会において、ソフトクリーム事業を拡大し、黒字化を目指すことを発表しました。ミニストップのソフトクリーム事業は店舗展開とライセンス販売の二つです。

ミニストップがソフトクリーム事業を拡大する理由は、業績の悪化が続いており、コンビニ事業以外の新しい収益が必要になっているからです。

ミニストップのソフトクリームは人気商品で、商業施設は飲食、サービスといった体験の強化を進めています。ミニストップのソフトクリーム事業は商品力があり、出店先も確保しやすいことから、成功する可能性は高いです。

ミニストップのソフトクリーム事業

ミニストップは4月8日に行った2020年2月期の決算説明会において、ソフトクリーム事業を拡大して行くことを発表しました。

ミニストップのソフトクリーム事業は店舗展開とライセンス販売の二つです。

店舗展開については、東京、大阪などの都市部に出店し、早期に100店舗を目指します。ミニストップのソフトクリーム専門店のブランドは、「MINISOF(ミニソフ)」、「Softcream Time(ソフトクリーム タイム)」の二つです。

5月27日時点では、「ミニソフ」は、横浜ポルタ店、イオンモール京都五条店、小田急エース店、吉祥寺サンロード店の4店舗です。

「ソフトクリーム タイム」は、マルイファミリー溝口店、イオンレイクタウンkaze店、LINKS UMEDA店の4店舗です。

ソフトクリームのメニューは約20種類、価格帯は360円から570円までとなっています。価格が最も安いのはソフトクリームで360円、価格が最も高いのはカスタードプリンで570円です。

ライセンス販売については、パートナー企業に原材料の供給とメニューの提案を行い、ミニストップは直接投資をほぼ行わないというものです。

ミニストップのソフトクリーム事業は、店舗展開とライセンス販売の2本柱で黒字化を目指す計画です。

なぜミニストップはソフトクリーム事業を拡大するのか

ミニストップはソフトクリーム事業を拡大します。

ミニストップがソフトクリーム事業を拡大する理由は、コンビニ事業以外での収益が必要になっているからです。

ミニストップの過去5年間の営業収入、営業利益は次のようになっています(営業収入、営業利益の単位は百万円)。

営業収入 営業利益 利益率
2016年2月期 213,528 2,597 1.2
2017年2月期 196,955 1,241 0.6
2018年2月期 206,964 10 0.0
2019年2月期 205,304 ▲551
2020年2月期 193,439 ▲3,031

近年、ミニストップは営業利益の減少が続いています。ミニストップのホームページにある、最も古い決算短信は2011年2月期です。2011年2月期の営業収入は113,889百万円、営業利益は7,646百万円、営業利益率は6.7%と高収益でした。

ミニストップの営業収入は継続的に増えていますが、営業利益は減り続き、営業損失になっています。営業収入の増加については、国内事業はそれほど増えておらず、ほとんどが海外事業によるものです。

ミニストップと大手三社の間には売上高、店舗数の大きな差があり、ミニストップが苦戦する状況は今後も続きそうです。

コンビニ事業の収益性が悪化する中で、ソフトクリームはコンビニ事業以外で新しい収益を目指す新規事業です。

ミニストップは店舗でソフトクリームを販売しており、ソフトクリーム事業は既存の経営資源を活用したものです。

ミニストップのソフトクリーム事業の店舗面積は小さく、商品の価格は高く、生産性は高いです。また、ライセンス販売ではほぼ投資を行わないため、高収益が見込めます。

ソフトクリーム事業がすぐにコンビニ事業をカバーできるわけではありません。しかし、コンビニ事業の収益性の低下が続くなかで、ミニストップはコンビニ事業以外での収益が必要になっています。

ミニストップのソフトクリーム事業は成功できるか

ミニストップのソフトクリーム事業は、コンビニ事業以外での収益を目指すものです。

ミニストップのソフトクリーム事業が成功する可能性は高いと思います。

ミニストップはイートインが美味しいコンビニとして知られています。イートインではデザートの品揃えが充実していて、ソフトクリームは特に人気の商品の一つです。

ミニストップのソフトクリームには、これまでイートインで販売してきた長い実績があり、美味しさは保証されています。

ミニストップの2020年2月期末の店舗数は1,997店舗で、大手三社と比較すると店舗数は少ないです。ミニストップのソフトクリームを買いたくても、店舗が近くにないので買えないという潜在顧客が多数います。

ミニストップはソフトクリーム専門店「ミニソフ」、「ソフトクリーム タイム」を出店することで、潜在顧客にリーチできます。今後、店舗数の増加に合わせて、ソフトクリーム事業の売上は順調に伸びるはずです。

「ミニソフ」、「ソフトクリーム タイム」の出店先は商業施設です。「ミニソフ」、「ソフトクリーム タイム」は、現在の商業施設のニーズに合った専門店です。

商業施設はECに物販の売上を奪われており、物販から体験へのシフトを進めています。

ミニストップのソフトクリームは人気があり、味も美味しく、体験を強化したい商業施設にとっては魅力的な商品です。「ミニソフ」、「ソフトクリーム タイム」を出店したい商業施設は多くあるはずです。

ミニストップのソフトクリームは事業は優れた商品力、商業施設の体験ニーズにより、成功する可能性が高いです。

店舗数が少ないミニストップは単品を強化したい

ミニストップのソフトクリーム事業は、コンビニ事業で育ててきたソフトクリームを活かした新規事業です。

ミニストップはソフトクリーム事業のように、実績のある単品をさらに強化することで、事業の拡大を目指したいです。

近年、ミニストップは業績が悪化しています。

ミニストップの業績が悪化する理由は、大手三社よりも店舗数が大幅に少ないことです。店舗数の差が競争力の差になり、業績の悪化に繋がっています。

コンビニで重要なのは商品力で、商品力の基盤となるのが店舗数です。大手三社よりも店舗数が少ないミニストップは、売上高も少なく、商品開発への投資も少ないです。

2019年度のセブン-イレブンの店舗数は20,916店舗、日販は656,000円でした。一方、ミニストップの店舗数1,997店舗、日販は426,000円でした。

ミニストップと大手三社の店舗数、日販の差は大きく、こうした状況は今後も続くと考えられます。

ミニストップが大手三社と商品の総合力で競うことは難しく、単品を強化することで差別化したいです。ミニストップのソフトクリームは大手三社にはない商品で、ミニストップの人気商品としてお客さんに認知されています。

ソフトクリーム事業のように、コンビニで育てた単品を、コンビニ以外の販路で売るのは堅実な戦略です。ソフトクリーム事業では、人気の商品をさらに強化するとともに、少ない投資で新規顧客へのリーチが可能になります。