5月4日、総務省は15歳未満の子供の推計人口(2020年4月1日現在)が1,512万人であると発表しました。子供の人口は39年連続で減少しています。
子供の人口が減少する理由は、出産可能な女性の人口減少によるものです。出産可能な女性の人口減少は、過去、現在、未来と繋がって行くため、子供の人口減少に歯止めを掛けることは難しいです。
子供の人口減少は、小売業に客数、従業員の減少を引き起こします。小売業はより少ない客数、従業員で利益を確保できる、生産性の高い店舗を実現したいです。
15歳未満の子供の推計人口は1,512万人
5月4日、総務省はこどもの日に合わせて、15歳未満の子供の推計人口(2020年4月1日現在)を発表しました。
総務省の発表によると、2020年4月1日現在の15歳未満の子供の推計人口は1,512万人でした。昨年と比較すると20万人減少しており、減少は39年連続です。また、比較可能な1950年以降、過去最少を更新しています。
1,512万人の内訳は、男子が774万人、女子が738万人です。
3歳ごとの年齢区分を見ると、0~2歳は275万人、3~5歳は293万人、6~8歳は304万人、9~11歳は318万人、12~14歳は321万人となっています。若い年齢区分ほど人口が少なく、子供の人口減少が続いていることが分かります。
総人口に占める、15歳未満の子供の割合は12.0%です。
なぜ子供の人口は減少するのか
15歳未満の子供の推計人口は1,512万人で、減少は39年連続です。
子供の人口減少が続く理由は、出産可能な女性の人口減少によるもので、さらに、晩婚化・非婚化、格差社会、ライフスタイルの変化などが関係しています。
出産可能な女性の人口減少は、子供の人口減少が続く大きな理由です。
現在、出産可能な女性の多くは、今から20~40年前に生まれています。今起きている子供の人口減少は、20~40年前の子供の人口減少が引き起こしたものです。さらに、今起きている子供の人口減少は、20~40年後の子供の人口減少を引き起こします。
子供の人口減少は過去、現在、未来と繋がって行きます。この流れを転換することは難しく、子供の人口減少を止めることができません。
出産可能な女性の中には、何らかの理由で子供を持たない人もいます。子供を持たない理由には、ライフスタイル、お金、健康など、様々なものがあります。
出産可能な女性が少ないことに加え、何らかの理由で子供を持たない人が増えることで、子供の人口減少が加速します。
子供の人口を増やすためには、結婚・出産をしやすい環境を整え、女性一人が生む子供の数を増やさなければなりません。女性一人が2人以上の子どもを産めるようになれば、子供の人口減少に歯止めが掛かるかもしれません。
政府、企業は結婚・出産をしやすい環境の整備に取り組んでいるものの、大きな改善は見られず、子供の人口減少はしばらく続くと予想されます。
子供の人口の減少は小売業にどう影響するか
子供の人口減少は日本の人口減少と同じことです。
人口の減少は小売業にも大きなインパクトがあり、既に人口の減少による影響が感じられるようになっています。
人口の減少は店舗で買い物をするお客さん、店舗で働く従業員の減少に繋がります。既に多くの小売業がお客さん、従業員が減少する問題に直面しています。
人口が減少する中で店舗数が増えると、一店舗あたりのお客さんが減少します。
コンビニは昔から飽和だと言われ続けていますが、店舗数を増やしてきました。しかし、近年は商圏内でのお客さんの奪い合いがいよいよ激しくなり、加盟店の収益性は悪化しています。コンビニは人口の減少により、店舗数を増やすことが難しくなっています。
人口が減少すると、小売業で働く従業員の数が減ります。
小売業はアルバイト・パートに店舗運営を依存しており、人口の減少が問題を引き起こしています。人口の減少による小売業の問題は、アルバイト・パートの採用が難しくなること、時給が上昇することです。
アルバイト・パートの採用が難しいことと、時給の上昇は別の問題です。アルバイト・パートを採用できなければ、店舗の運営ができません。また、うまくアルバイト・パートを採用できたとしても、時給の上昇で収益性が悪化します。
時給の上昇の影響が大きいのは、100円ショップのように在庫回転率が高い業種です。100円ショップは商品を補充するためのアルバイト・パートを大量に雇用しており、時給の上昇の影響を大きく受けます。
人口の減少により、小売業では客数、従業員の減少が発生し、収益性が悪化します。人口の減少は今後も長く続くため、小売業の収益性の悪化も長く続くことになります。
小売業は子供の人口の減少に合わせた生産性の高い店舗が必要
今日生まれる子供の人口が少なければ、20年後に成人する人口も少ないです。
将来の人口の減少は確実なため、小売業は人口が減少しても利益を確保できる、生産性の高い店舗を実現しなければなりません。
人口の減少による客数の減少は、ある程度は受け入れないといけないものです。人口が減少しても、競合との競争に打ち勝ち、自社だけが客数を伸ばすというのは難しいです。さらに、高齢化による消費の縮小、ECの拡大の影響もあります。
小売業が客数の減少に対応するためには、店舗の運営コストが小さい小型店が望ましいです。小売業は現在の標準店舗から、小型化する方向を模索したいです。
小売業は客数の増加による売上の増加が期待しにくいため、店舗の運営コストを削減することで生産性を高めたいです。
アルバイト・パートの主要業務である、接客・レジ・商品の補充において、いかに生産性を向上できるかが重要です。
接客については、スマホアプリを使って店舗の在庫・売り場を検索してもらう方法が効果的です。お客さんが自分で商品の在庫・売り場を調べれば、店員が案内する必要がなくなります。在庫検索アプリはホームセンターのカインズが導入しています。
レジについては、セルフレジ、セミセルフレジ、スマホレジ、無人レジなど、生産性を向上するソリューションが開発されています。こうしたソリューションの利用率が高まれば、店舗の生産性は確実に向上します。
商品の補充については、現在のところ有望なソリューションはありません。将来的には商品補充ロボットが開発されるという話もありますが、実現されるかどうかは不明です。
商品の補充には大量の労働力が投下されていて、人口の減少、時給の上昇の影響を大きく受けます。逆に言えば、商品の補充に何らかのソリューションを導入できれば、店舗の生産性は劇的に改善されることになります。
今後も人口の減少が継続することは確実ですから、小売業は10年後、20年後を見据え、生産性の高い店舗を実現したいです。