オイシックス・ラ・大地のグループ企業である、とくし丸が運営する移動スーパー「とくし丸」は流通総額、稼動車両台数を拡大しています。
とくし丸の流通総額、稼働車両台数が拡大している理由は、とくし丸と提携するスーパーマーケットが増えているからです。スーパーマーケットは移動スーパーの必要性を認識するようになっています。
現在のところ、スーパーマーケット1社あたりの稼働車両台数は少ないです。将来的に、移動スーパーのニーズが拡大すれば、稼働車両台数も拡大する可能性はあります。
移動スーパー「とくし丸」が拡大
5月28日、オイシックス・ラ・大地は2020年3月期の決算説明会において、移動スーパー「とくし丸」の数字を発表しています。
2020年3月期のとくし丸の流通総額は107.1億円(前期比35.4%増)、稼動車両台数は515台(前期比33.3%増)でした。
2020年3月期末時点で、とくし丸と提携しているスーパーマーケットは125社です。
とくし丸は2020年3月期中に、全国47都道府県への展開を達成しています。
とくし丸は大手スーパーマーケットのイトーヨーカドーと提携して、4月30日より、南大沢店で稼働開始しています。
なぜとくし丸は拡大しているのか
移動スーパー「とくし丸」の流通総額、稼働車両台数は拡大しています。
とくし丸の流通総額、稼働車両台数が拡大している理由は、とくし丸と提携するスーパーマーケットが増えているからです。
2020年3月期末時点で、とくし丸と提携しているスーパーマーケットは125社です。
スーパーマーケットは移動スーパーの必要性を感じていることになります。
スーパーマーケットがとくし丸と提携する背景には、高齢者の客数の減少があるのではないかと考えられます。店舗に買い物に来る高齢者が減ったことで、スーパーマーケットは移動スーパーの必要性を感じるようになったというのはありそうです。
スーパーマーケットにとって、とくし丸は既存店売上高を増やす方法の一つです。
スーパーマーケットはとくし丸の販売パートナーに商品を供給して、お客さんへの販売代行を依頼します。販売した商品の粗利益30%について、スーパーマーケットが13%、とくし丸の販売パートナーが17%を分け合います。
また、販売する商品の価格は10円上乗せされていて、スーパーマーケットととくし丸の販売パートナーは5円ずつ分け合います。
スーパーマーケットはとくし丸の販売パートナーに商品を供給するだけなので、コストを掛けることなく、既存店売上高を増やすことができます。
とくし丸の流通総額、稼働車両台数は拡大しており、スーパーマーケットの移動スーパーへの関心が高まっていることが分かります。
スーパーマーケットはとくし丸の稼動車両台数を増やすか
スーパーマーケット1社あたりの稼働車両台数は少ないです。
今後、スーパーマーケットが稼働車両台数を拡大する可能性はあります。
現在のところ、スーパーマーケットはとくし丸を実験的に稼働して、移動スーパーのニーズを確認している状況です。
2020年3月期末時点で、とくし丸と提携しているスーパーマーケットは125社、稼動車両台数は515台です。スーパーマーケット1社あたりの稼働車両台数は4.1台と少ないです。
スーパーマーケットは移動スーパーのニーズを確認できれば、稼働車両台数を増やすことになります。
スーパーマーケットの立場では、とくし丸を稼働するリスクは小さいです。
スーパーマーケットはとくし丸の販売パートナーに商品を供給するため、売れ残り・廃棄ロスのリスクがあります。ただ、とくし丸のお客さんは固定客なので、販売予測をしやすく、売れ残り・廃棄ロスのリスクは大きくはありません。
高齢化社会の進行に合わせて、移動スーパーのニーズは拡大します。
移動スーパーのニーズが大きくなれば、スーパーマーケットは一気に稼働車両台数を増やすかもしれません。
イトーヨカドーがとくし丸と提携することの意味
とくし丸は大手スーパーマーケットのイトーヨーカドーと提携して、4月30日より、南大沢店で稼働開始しています。
イトーヨーカードが移動スーパーを開始したことは、スーパーマーケット業界にとって重要な動きです。
スーパーマーケットは販路の拡大により、生産性が低下する状況にあります。
長い間、スーパーマーケットの販路は実店舗だけでした。すべてのお客さんが実店舗に買い物に来るので、生産性は高いです。
スーパーマーケットの販路として、実店舗にネットスーパーが加わります。スーパーマーケットは販路が実店舗とネットスーパーの二つになったことにより、生産性の向上が難しくなります。
実店舗とネットスーパーに移動スーパーが加わることにより、スーパーマーケットの販路は三つになり、生産性の向上がさらに難しくなります。
イトーヨーカドーは実店舗、ネットスーパーに加え、移動スーパーを開始しました。イトーヨーカドーが三つの販路について、どのように生産性を向上させるのか注目です。
若者はネットスーパー、高齢者は移動スーパーで買い物をするようになれば、実店舗の生産性は低下してしまいます。