6月26日、セブン-イレブンは食品ロスを削減する施策「エシカルプロジェクト」の開始により、食品ロスを約2割削減できたと発表しました。
「エシカルプロジェクト」の適用条件を考慮すると、食費ロスを約2割削減できたことは予想以上の成果だと言えます。「エシカルプロジェクト」はnanacoカードの利用者限定、ポイント還元率は5%と低く、期待はそれほど大きくはありませんでした。
「エシカルプロジェクト」は食品ロスの削減を狙ったものですが、同時にリピーターを維持する効果も見込めます。セブン-イレブンのリピーターは、いつもと同じように買い物をするだけで、5%のnanacoボーナスポイントを受け取るチャンスがあります。
「エシカルプロジェクト」は食品ロスを約2割削減
6月26日、セブン-イレブンは5月11日より全国の店舗で開始した、食品ロスを削減する施策「エシカルプロジェクト」の効果を発表しました。
2020年5月11日から2020年6月10日までの31日間において、全国平均で1店舗あたり食品ロスを約2割削減する効果が得られています。
「エシカルプロジェクト」とは、販売期限が近づいた一部の商品について、nanacoカードを使って購入した場合、5%のnanacoボーナスポイントが得られるというものです。
「エシカルプロジェクト」の狙いは、販売期限が近づいた商品が優先的に購入されるようにして、食品ロスを削減することです。
「エシカルプロジェクト」の食品ロス削減効果をどう評価するか
セブン-イレブンは「エシカルプロジェクト」により、食品ロスを約2割削減することに成功しました。
「エシカルプロジェクト」の適用条件を考慮すると、食費ロスを約2割削減できたことは予想以上の成果だと言えます。
「エシカルプロジェクト」のインセンティブである、5%のnanacoボーナスポイントは、お客さんにとってそれほど魅力的なものではありません。
5%のnanacoボーナスポイントを受け取るためには、nanacoカードが必須です。nanacoカードを持っていないお客さんは、「エシカルプロジェクト」のインセンティブを得られません。
また、5%のポイント還元率は高いとは言えません。スーパーマーケットでは、販売期限が近づいた弁当・惣菜が半額で販売されています。
「エシカルプロジェクト」は、nanacoカードの利用者限定、還元率も低く、食品ロス削減効果は大きくはないと予想されていました。当初の予想からすると、食品ロスを約2割削減できたことは十分な成果です。
「エシカルプロジェクト」には、食品ロス削減効果を拡大する余地があります。
nanacoカードだけではなく、nanacoカード以外のキャッシュレス決済、現金も対象にすれば、より多くの人がインセンティブを受けられるようになります。
還元率を5%よりも高く設定すれば、販売期限が近づいた商品がさらに優先的に購入されやすくなります。
「エシカルプロジェクト」がスーパーマーケットにように、値引きする条件を緩和すれば、食品ロス削減効果を2割以上に拡大することができます。
「エシカルプロジェクト」はリピーターの維持にも効果的
セブン-イレブンは「エシカルプロジェクト」により、食品ロスを約2割削減することに成功しました。
「エシカルプロジェクト」は食品ロスの削減を狙ったものですが、同時にリピーターを維持する効果も期待できます。
セブン-イレブンのリピーターにとって、「エシカルプロジェクト」の5%のnanacoボーナスポイントは魅力的なものです。
セブン-イレブンのリピーターは、セブン-イレブンの商品をよく知り、気に入っている人たちです。また、セブン-イレブンのリピーターはnanacoカードの保有率も高いです。
セブン-イレブンのリピーターはいつもと同じように買い物をするだけで、「エシカルプロジェクト」の5%のnanacoボーナスポイントを受け取るチャンスがあります。
5%の還元率は特に高いものではありませんが、いつもと同じように買い物をするだけで受け取れるのであれば、価値があるものです。
「エシカルプロジェクト」は、セブン-イレブンのリピーターが今後もセブン-イレブンで買い物を続ける新しいモチベーションになります。
コンビニ業界では、リピーターを維持することの重要性が高まっています。
店舗数の増加、業種の垣根を超えた競争の激化、人口の減少により、コンビニの既存店は客数が減少して行きます。コンビニの既存店が客数の減少を食い止めるためには、リピーターを維持しなければなりません。
リピーターに値引きをするのはもったいないという見方があります。リピーターは何もしなくても買い物してくれるので、値引きをすると利益が減るためです。
しかし、コンビニ業界の競争環境は厳しく、リピーターへのインセンティブも検討するべきです。
「エシカルプロジェクト」は食品ロスの削減、リピーターの維持を同時に実現するものであり、効果的な施策です。