U.S.M.Hが公式スマホアプリの決済機能「Scan&Go」の導入店舗を拡大

5月29日、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)は2020年6月中旬より、公式スマホアプリの決済機能「Scan&Go」の導入店舗を拡大すると発表しました。

U.S.M.Hが「Scan&Go」の導入店舗を拡大する理由は、これまでの利用実績を踏まえ、さらに導入店舗を拡大できると判断したためだと考えられます。

「PayPay」、「LINE Pay」、「楽天ペイ」、「メルペイ」などのQRコード決済の人気が高く、「Scan&Go」が利用者をすぐに増やすのは難しいかもしれません。「Scan&Go」はリピーターの利用を徐々に増やして行きたいです。

「Scan&Go」の導入店舗を拡大

5月29日、U.S.M.Hは2020年6月中旬より、公式スマホアプリの決済機能「Scan&Go」の導入店舗を拡大すると発表しました。

「Scan&Go」とは、スマホアプリにクレジットカードを登録した後、お客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物することで、レジの待ち時間を短縮する決済方法です。

「Scan&Go」はグループ会社であるカスミの店舗、「カスミ筑波大学店」、「KASUMI LABO」、「フードスクエアカスミ学園店」、「フードスクエアカスミ八潮駅前店」の4店舗、実験店舗である「オフィススマートショップ」に導入されています。

また、カスミの14店舗では従業員向けに先行導入されており、スマホアプリのユーザビリティ、機能の改善が行われています。

2020年6月中旬より、従業員向けに先行導入していた14店舗において、お客さんも利用できるようになります。

カスミの店舗に加え、同じくグループ会社であるマルエツ、マックスバリュ関東の店舗でも、今期中に「Scan&Go」が導入される計画です。

なぜ「Scan&Go」の導入店舗を拡大するのか

U.S.M.Hは2020年6月中旬より、公式スマホアプリの決済機能「Scan&Go」の導入店舗を拡大します。

U.S.M.Hが「Scan&Go」の導入を拡大する理由は、従業員向けにテストした結果、お客さん向けにも提供できる目処が立ったからだと考えられます。

お客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物をするスマホ決済には課題があります。

お客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物をすると、商品棚の前、通路、サッカー台などで、立ち止まることが増えます。「Scan&Go」を利用するお客さんが他のお客さんの買い物の邪魔になることは問題です。

お客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物をするスマホ決済には、万引が増えるリスクがあります。お客さんが自分で商品のスキャンをするため、悪意のある無しに関わらず、万引が発生しやすいです。

今回、U.S.M.Hが「Scan&Go」の導入拡大を決めたことで、こうした点が大きな問題にならないことが確認されたと考えられます。

お客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物をするスマホ決済は、トライアル、ローソン、イオンリテールなどでも、一部の店舗で導入されています。

イオンリテールは「どこでもレジ レジゴー」を2020年度中に約20店舗に導入する計画です。「どこでもレジ レジゴー」はお客さんにタブレットを貸し出し、お客さんに自分で商品をスキャンしてもらい、電子マネー、クレジットカードで決済する仕組みです。

お客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物をする決済方法は実験段階にあり、U.S.M.Hの「Scan&Go」は先行事例の一つです。

「Scan&Go」は利用者を増やせるか

U.S.M.Hの「Scan&Go」は、お客さんが自分で商品をスキャンするスマホ決済です。

「Scan&Go」の利用者をすぐに増やすことは難しそうですが、リピーターの利用を徐々に増やして行きたいところです。

「Scan&Go」はお客さんが自分で商品をスキャンしながら買い物をすることで、レジの時間を短縮するものです。レジの時間が短縮されるのは嬉しいですが、商品を自分でスキャンしながら買い物をするのは負担です。

スーパーマーケットは購入点数が多いため、「Scan&Go」を利用する負担は大きいです。「Scan&Go」を積極的に利用したいというお客さんは多くないかもしれません。

お客さんがスマホ決済でイメージするのは、「PayPay」、「LINE Pay」、「楽天ペイ」、「メルペイ」などのQRコード決済です。QRコード決済では、保有しているポイントを使って買い物ができ、ポイント還元のキャンペーンも魅力的です。

「Scan&Go」とQRコードを比較した場合、QRコードを使いたい人の方が多いのではないでしょか。

「Scan&Go」が導入される予定のマルエツでは、「PayPay」と「メルペイ」が利用できます。お客さんがポイントを使って買い物をする場合、「Scan&Go」よりもQRコード決済が優先されます。

U.S.M.Hが「Scan&Go」の導入店舗を拡大することはポジティブです。「Scan&Go」が利用者を増やすためには、QRコード決済との差別化が必要になりそうです。

「Scan&Go」は店舗の生産性向上に貢献

業種の垣根を超えた競争、人口の減少、ECの拡大により、小売業では店舗の生産性向上が不可欠になっています。

U.S.M.Hの「Scan&Go」は店舗の生産性向上に貢献するものです。

「Scan&Go」を利用するのは、自分で商品をスキャンする作業を負担してでも、レジに並ばずに早く買い物を済ませたいお客さんです。

「Scan&Go」では、お客さんが買い物中に自分で商品をスキャンするので、レジの従業員のスキャン作業がなくなります。レジの従業員のスキャン作業がなくなれば、店舗の生産性は向上します。

レジには多くの従業員が投入されており、店内でも生産性の向上が欠かせないポイントです。レジの生産性向上のため、セルフレジ、セミセルフレジが導入されており、「Scan&Go」にも同様の効果が期待できます。

お客さんに「Scan&Go」を利用してもらえれば、レジの従業員の負担は確実に減り、店舗の生産性は向上します。

「Scan&Go」を利用するお客さん一人一人の効果は小さいとしても、積み重なれば一定の効果があります。

「Scan&Go」の導入店舗が拡大し、利用者が増えるのは良いことです。「Scan&Go」の利用者を着実に増やして行けば、店舗の生産性も向上します。