6月23日、ワタミは自社でデリバリーを行い、安価な配送手数料を実現する「ワタミデリバリー」を発表しました。「ワタミデリバリー」は「から揚げの天才」、「bb.q オリーブチキンカフェ」の2業態で展開されます。
ワタミが「ワタミデリバリー」を開始する理由は、「から揚げの天才」がデリバリーで売上を伸ばせるからです。「から揚げの天才」はから揚げの専門店として、デリバリーでお客さんに選ばれる競争力があります。
ワタミは成長が見込めない居酒屋を縮小して、成長が見込めるテイクアウト、デリバリーへとシフトして行くことになります。居酒屋が縮小することは残念ですが、「から揚げの天才」と「ワタミデリバリー」は有望な事業です。
「ワタミデリバリー」の内容
6月23日、ワタミは自社デリバリー戦略「ワタミデリバリー」を発表しました。
「ワタミデリバリー」とは、ワタミが自社でデリバリーを行うことで、安価な配送手数料を実現するものです。
「ワタミデリバリー」の配送手数料は、注文金額が1,500円以下は350円、1,501~3,000円は200円、3,001円以上は無料です。
「ワタミデリバリー」は7月1日より、「から揚げの天才」、「bb.q オリーブチキンカフェ」の2業態で開始され、導入店舗を拡大します。
新型コロナウイルスの影響により、「から揚げの天才」のテイクアウト比率は90%になり、「bb.q オリーブチキンカフェ」はデリバリーの売上が大きく伸びるといった変化が出ています。
「ワタミデリバリー」は拡大するデリバリーのニーズに対応するものです。
現在、「から揚げの天才」の店舗数は13店舗ですが、2021年3月末までに100店舗を出店する計画があります。
なぜ「ワタミデリバリー」を開始したのか
ワタミは7月1日より、自社デリバリー戦略「ワタミデリバリー」を開始します。
ワタミが「ワタミデリバリー」を開始する理由は、「から揚げの天才」がデリバリーで売上を伸ばせるからです。
新型コロナウイルスの影響により、デリバリーが拡大しています。
デリバリーの拡大はすべての飲食店にとってチャンスです。ワタミの「から揚げの天才」にも、デリバリーで売上を伸ばすチャンスがあります。
デリバリーの競争において、「から揚げの天才」の強みになるのは、からあげの専門店であることです。デリバリーには弁当店、ファミリーレストランのから揚げもありますが、から揚げの専門店である「から揚げの天才」はお客さんから選ばれやすいです。
メニューが少ないことは「から揚げの天才」の強みです。少数のメニューを効率よく販売することで、収益性が高まります。
「ワタミデリバリー」は「から揚げの天才」の拡大を長期的に見据えたものです。
多くの飲食チェーンがウーバーイーツ、出前館に出店して、デリバリーを開始しています。飲食チェーンが外部のデリバリーサービスを利用する場合、売上の増加に合わせて、配送手数料も増えます。
ワタミは「から揚げの天才」のデリバリーを自社で行います。将来、「から揚げの天才」の売上が増加しても、配送の人件費をコントロールしやすいです。
「から揚げの天才」はデリバリーの短期的な売上を目指しているのではなく、デリバリーチェーンとして拡大することを目指しています。「ワタミデリバリー」は「から揚げの天才」の拡大に不可欠なものです。
新型コロナウイルスにより、デリバリーが拡大しており、「から揚げの天才」は売上を伸伸ばせます。
居酒屋からテイクアウト、デリバリーへとシフト
「ワタミデリバリー」はワタミの新しい成長戦略です。
ワタミは成長が見込めない居酒屋を縮小して、成長が見込めるテイクアウト、デリバリーへとシフトして行くことになります。
新型コロナウイルスの影響により、居酒屋は厳しい状況にあります。
居酒屋は三密として避けられやすく、客数の減少は避けられません。ソーシャルディスタンスの確保のため、客席を削減する必要があり、さらに客数が減少します。また、定期的に換気、消毒を行うため、人件費が増加します。
居酒屋は売上の減少と費用の増加が確実で、利益の確保は困難です。居酒屋で存続できるのは、客数が多い一部の店舗だけだと考えられます。
ワタミは国内店舗の約13%にあたる、65店舗を閉店する計画を発表しています。今後、ワタミが居酒屋の店舗を増やすというのは、現在のところ起こりにくいです。
居酒屋からテイクアウト、デリバリーへのシフトは「脱店内」だと言えます。
居酒屋は店内で食事をするため、広い店舗面積と多くの従業員が必要です。一方、テイクアウト、デリバリーは店内で食事をしないため、居酒屋と比較すると、店舗面積は狭く、従業員の数も少ないです。
居酒屋の店舗数が減ることは残念ですが、テイクアウト、デリバリーには、居酒屋よりも高い生産性が期待できます。
「から揚げの天才」と「ワタミデリバリー」は有望な事業です。ワタミの居酒屋からテイクアウト、デリバリーへのシフトは、うまく行くのではないでしょうか。