ZOZOが新しい買い物体験を提供する靴の専門モール「ZOZOSHOES」をオープン

3月4日、ZOZOは誰もが靴を買いやすいECを目指して、靴の専門モール「ZOZOSHOES」をオープンしました。「ZOZOSHOES」は「ZOZOMAT」で計測した足のサイズデータを使うことで、お客さんにピッタリの靴を提案します。

「ZOZOSHOES」はお客さんがECで靴を買いやすい環境を整えることで、売上の増加を狙っています。

「ZOZOMAT」に関連して、靴のPB商品については特に言及されていません。ZOZOはPB商品の販売を縮小する方向ですが、靴のPB商品の開発にも取り組むべきです。

「ZOZOSHOES」と「ZOZOMAT」

3月4日、ZOZOは誰もが靴を買いやすいECを目指して、靴の専門モール「ZOZOSHOES」をオープンしました。

「ZOZOSHOES」の特徴は、足のサイズを計測する「ZOZOMAT」を使い、お客さんそれぞれが自分にピッタリの靴を購入できるというものです。

「ZOZOMAT」とは、足のサイズを計測するために使用する紙で、ZOZOの専用サイトで申し込むと無料で自宅に届きます。

足のサイズを計測する方法は、「ZOZOMAT」に左右それぞれの足を乗せ、スマートフォンのカメラで数回撮影します。

「ZOZOMAT」で計測するデータは、足の長さだけではなく、足幅、甲の高さなども、ミリ単位で所得します。

「ZOZOSHOES」で靴を買うときに、「ZOZOMAT」で計測した足のサイズデータを使用できます。

「ZOZOSHOES」はお客さんそれぞれの足のサイズデータを分析して、お客さんの足型と相性の良い靴を提案します。相性度は0~100%で表示され、相性度が高いほど、お客さんがピッタリだと感じる確率が高くなります。

「ZOZOSHOES」で買い物をするお客さんは、相性度の高い靴を選択することで、試着をしなくても、自分にピッタリの靴が買えます。

「ZOZOSHOES」と「ZOZOMAT」が提供する靴の買い物体験は、これまでにない画期的なものです。

なぜZOZOは「ZOZOMAT」を配布するのか

ZOZOは「ZOZOMAT」を無料で配布します。

ZOZOが「ZOZOMAT」を配布する理由は、「ZOZOMAT」がZOZOの流通総額の拡大に不可欠なものだからです。

靴はECでの購入にストレスを感じる商品の一つです。

お客さんが靴をECで買うのにストレスを感じる理由は、靴が体に身に着けて、長く使うものだからです。ECで買った靴の履き心地が悪いと、買わなければよかったという後悔が大きくなります。

ECで良さそうな靴を見つけても、履き心地が悪かったときの不安もあり、お客さんは欲しいけど安心して買えないストレスを抱えます。「ZOZOMAT」はこうしたお客さんのストレスを軽減するためのソリューションです。

ファッションECにおけるサイズ問題は全世界共通のものです。

お客さんがECでファッションアイテムを買うときにぶつかる、サイズ問題を解消するソリューションが全世界で開発されています。「ZOZOMAT」もサイズ問題を解消するソリューションの一つです。

ZOZOは以前に身体のサイズを計測する「ZOZOSUIT」を配布(現在は中止)しており、今回の「ZOZOMAT」は靴バージョンです。サイズ問題を解消しなければならないのは洋服も靴も同じです。

ZOZOが「ZOZOMAT」を配布する理由は、ECで靴を買うお客さんのストレスを軽減して、流通総額を拡大するためです。

「ZOZOMAT」で「ZOZOSHOES」の売上は伸びるか

「ZOZOMAT」はお客さんそれぞれの足のサイズデータを計測して、「ZOZOSHOES」で靴を買うお客さんのストレスを軽減します。

「ZOZOMAT」が算出する相性度がうまく機能すれば、「ZOZOSHOES」の売上が増える可能性は高いです。

ECで靴を買いたいけど、履き心地が悪かったときが心配だから買わない、買えないという人は少なくないと推測されます。

ECサイトには実店舗とは比較にならないほどの靴が品揃えされていて、お客さんの関心を引き付けています。しかし、ECで靴を買うことにはリスクがあり、お客さんを思いとどまらせています。

「ZOZOMAT」はECで靴を買うことを思いとどまっている人たちに、ECで靴を買ってもらうためのソリューションです。「ZOZOMAT」を使ってみようと考える人が多ければ、「ZOZOSHOES」の売上は増えます。

ZOZOは「ZOZOSHOES」の売上拡大に、ZOZOTOWNの顧客基盤を活用できます。

ZOZOの2019年3月期の決算説明会資料によると、ZOZOTOWNの年間購入者数は8,126,524人です。

ZOZOTOWNで洋服を買う人の中には、洋服を買うのはいいが、靴を買うのは不安だという人はいるはずです。このようなお客さんに洋服だけではなく、靴も買ってもらうことで、「ZOZOSHOES」の売上を伸ばせます。

「ZOZOSHOES」は「ZOZOMAT」の優れた買い物体験、ZOZOTOWNの顧客基盤を活かすことで、売上の増加が期待できます。

「ZOZOSHOES」の買い物体験は実店舗よりも優れているか

靴の買い物体験について、実店舗、ECサイト、それぞれに良い点と悪い点があります。

「ZOZOSHOES」の買い物体験を実店舗と比較することは難しいですが、実店舗の買い物体験に変化がない中で、「ZOZOSHOES」の買い物体験は大きく改良されています。

実店舗には靴を試着してから買える安心感があります。

自分にピッタリの靴を買おうとすれば、ECサイトよりも実店舗の方が適しています。実店舗では複数の靴を試着してから買えるので、履き心地の悪い靴を買う可能性は低く、返品もしやすいです。

ただ、ECサイトの豊富な品揃えを見ると、実店舗の品揃えには物足りなさを感じることもあります。自分にピッタリの靴が買えるのであれば、実店舗よりもECサイトで買いたいと考えている人もいるはずです。

「ZOZOSHOES」は「ZOZOMAT」を活用することで、お客さんが自分にピッタリの靴が買える確率を高めました。

お客さんは「ZOZOSHOES」の豊富な品揃えの中から靴を選べ、「ZOZOMAT」で計測した足のサイズデータを活用することで、履き心地の悪い靴を買う可能性が下がります。

「ZOZOMAT」がきっかけとなり、実店舗で靴を買うのをやめて、「ZOZOSHOES」で買うようになる人はいると思います。

「ZOZOSHOES」の買い物体験を実店舗と比較することは難しいですが、「ZOZOSHOES」は買い物体験を改良しました。靴の買い物場所として「ZOZOSHOES」の価値は上がり、実店舗の価値は下がることになります。

ZOZOは靴のPB商品の開発に取り組んだ方が良い

ZOZOはPB商品の売上が伸びなかったため、PB商品の販売を縮小する方向です。

「ZOZOMAT」に関連して、靴のPB商品については特に言及はありませんが、洋服のPB商品の失敗にひるまず、開発に取り組むべきです。

ZOZOがPB商品の開発に取り組むのは自然な流れです。

ZOZOはどの商品が誰に売れたのか、ビッグデータを蓄積しています。ZOZOは商品の開発に必要なお客さんのニーズを最もよく知る立場にあります。

ZOZOはビッグデータを外部企業に販売するビジネスができますが、それだけではもったいないです。ZOZOはPB商品を開発することにより、業界での影響力を強め、さらに大きな利益を獲得することが可能になります。

ZOZOのPB商品を失敗と結論づけるのは早いです。

ユニクロ、ニトリ、無印良品、ワークマン、ABC-MARTなど、現在人気の製造小売業も、優れたPB商品を開発するのに長い時間を要しています。ZOZOはPB商品の開発を始めたばかりで、継続して取り組みたいです。

靴は洋服と比較すると多様性はなく、少数のPB商品をじっくりと時間を掛けて開発できます。また、洋服ではユニクロ、無印良品などのブランド力が強いですが、靴にはそうしたブランドがなく、洋服よりも売れるチャンスはあります。

ZOZOはPB商品の開発から撤退するようにも見えますが、靴でもPB商品の開発に取り組むべきです。